ストレッチは体に良い、体はやわらかいほうが良いと言われますが、その理由は?
疲れたときは自然に背伸びもしますよね。それはどうしてでしょうか?
いつでもどこでも手軽にできるストレッチ、正しい方法を学んではじめてみませんか?
1.ストレッチにはどんな効果がありますか?
疲れたときに、背伸びをしたり腰を回したりしますよね。
筋肉がほぐれて血液が流れやすくなり、気持ちが良いことを、自然とわかっているのです。
省エネにできている体は、使わない機能は不要と考え、なくしていきます。
体を動かさないでいると、筋肉の強さを失っていきます。また、失った強さのかわりに、かたくなることで体を守ろうとします。
ストレッチの効果は大きく3つあります。
1-1.体をやわらかくする。
ストレッチをすると、その場で体がやわらかくなります。
神経のブロックが解除されるためで、時間がたつともとに戻ります。
体がやわらかくなると、運動の種類によってはねんざや脱臼のリスクがあります。
ストレッチと合わせて筋力アップすることも重要です。
ストレッチを数ヶ月続けていると細胞がかわり、質の良いやわらかい筋肉になります。
血液やリンパ液の流れもよくなり、疲れにくい体も手に入ります。。
1-2.運動をしやすくする。
50メートル走をするときに、ストレッチやウォームアップをして走るのとしないで走るのでは、前者のほうが早いと思いませんか?
体を動かす神経は、カルシウムやカリウムなどのミネラルによる電気刺激で働きます。
これを促通(そくつう)と言い、何度か繰り返すことで動きが早くなります。
また、肩が上がる、歩幅が大きくなるなど動作が大きくなるメリットもあります。そのため、運動効果が上がりやすくなり、スポーツのパフォーマンスも高まります。
1-3.怪我をしないようにする。
柔軟性が高くなれば、怪我のリスクは下がります。
そしてストレッチには、もう一つ重要な働きがあります。
筋肉は自分を守るため、伸ばされると縮むという伸張(しんちょう)反射という働きがあります。
電車でいねむりをしている人が傾いていくと、あるときビクッと立ち直りますよね。
それは筋肉が伸びすぎて怪我をしてしまうことを、防いでいるのです。
伸張反射が強すぎると、肉ばなれを起こすことがあります。
ストレッチやウォームアップで、伸張反射をほどよく調整しましょう。
ストレッチは、筋トレや有酸素運動の効果を高める相乗作用もあります。
2.ストレッチの種類について知りたい!
子供のころ、ラジオ体操をやっていましたよね。
ラジオ体操はストレッチの一種である、ダイナミック(動的)ストレッチです。
大人になって肩こりや腰痛があると、いてて…と伸ばしたりしますよね。
これはストレッチの一種である、スタティック(静的)ストレッチです。
ストレッチには次のような種類があります。
- スタティック・ストレッチ
静的ストレッチ、いわゆる一般のストレッチです。一つ一つの部位を、止まった状態で伸ばしていきます。
1つの動作を15~30秒程度行います。怪我のリスクが低いのでおすすめです。 - ダイナミック・ストレッチ
動的ストレッチ、いわゆるラジオ体操のようなイメージです。
実際に行おうとする運動動作にそって、体を動かしながら全身を伸ばしていきます。 - バリスティック・ストレッチ
反動をつけて、リズミカルに行います。筋肉の伸張反射を引き出し、体を動きやすくします。
少し難しいテクニックですが、スポーツなどを行うときは取り入れても良いでしょう。 - パートナー・ストレッチ
スタティックストレッチを二人組で行います。
自分では伸ばせない部位も効率よくストレッチできますが、パートナーの技量により効果に差があります。 - PNF・ストレッチ
理学療法より派生したストレッチで、柔軟性を上げる高い効果があります。
パートナーストレッチで、トレーナーにより行われることが多いです。
はじめは、安全で簡単なスタティックストレッチがおすすめです。
スポーツをするときは、そのスポーツで行う動作に近いダイナミックストレッチを行いましょう。
体がかたい場合はバリスティックストレッチや、パートナーストレッチでのPNFストレッチも効果があります。
3.ストレッチは毎日するほうがいいですか?
ストレッチは、激しい運動と違って、いつ行っても大丈夫です。そして毎日、何度やってもやり過ぎではありません。
「ちょっと疲れたな」と感じたら、席を外して気軽にやってみましょう。
体温が低いと筋肉が伸びにくいので、お風呂上りや軽く歩いた後に行うとより効果的です。
運動をするときは、怪我を防いだり体が動きやすくなるよう、運動前に行います。
さらに、体をやわらかくしたり、疲れを残さないためには、運動後も行うと良いですね。
筋トレをしている人は、エクササイズの合間に使った部位のスタティック・ストレッチをこまめに行うのも効果的です。
4.おすすめのストレッチはありますか?
実際にはたくさんの種類がありますが、ここでは立った姿勢(左:オレンジ)と座った姿勢(右:グリーン)に分けてご紹介いたします。
座った姿勢は自宅で気軽に行うときに、立った姿勢は屋外やフィットネスジムで行うときに、それぞれご活用ください。
ストレッチのポイント
- 息を止めないで、伸ばす時に吐きましょう。
- リラックスして、伸ばしている部位を意識しましょう。
- 気持ちいい所で、20~30秒くらいキープしましょう。
イラストレーターは齊藤恵さんです。instagram megrush_parenting
5.もっとストレッチを知りたい!
あなたの体がかたくなるのは、あなたの体を守るためです。
運動不足で筋力が落ち、弱くなった体を、かたくなることで守ろうとしているのです。
その体をストレッチでやわらかくすることは重要ですが、同時に筋トレもして筋力アップをしないと、ねんざや脱臼など思わぬ怪我をする場合もあります。
筋トレで体が硬くなるという説もありますが、それはストレッチをしていないためです。
筋トレとストレッチを組み合わせることで、柔軟性を保つことができます。
姿勢が悪い人は、いきなり運動を始めると、一部の筋肉だけが強くなり、姿勢がますます悪くなることがあります。
そのまま放置すると、前後・左右差の筋力バランスが崩れて怪我をすることもあります。
スポーツや筋トレの前にストレッチをすることで、姿勢のアンバランスを調整することができます。
太もも裏のストレッチをしていて右のほう硬ければ、左よりも時間をかけて行うといったようにで、気をつけるとよいでしょう。
ストレッチはオンラインでも気軽に学ぶことができますので、もしご興味があればお気軽にご連絡ください。
最後になりますが、近年、「運動前のスタティック・ストレッチは、筋力を下げるのでしないほうが良い」と言う意見が出ており、ストレッチを指導しないパーソナルトレーナーも多いようです。
スタティック・ストレッチは良くないと言う文献を調べると、一つのストレッチを3分間行っています。そんなに長くやる人いませんよね?
「このあと50メートル走をします!」っていわれて、いきなりダッシュする人がいれば、アキレス腱が切れてしまうでしょう。
1日8時間デスクワークをしていたサラリーマンに、いきなり50キロのバーベルを持ち上げさせれば、腰が砕けてしまうでしょう。
運動の前にストレッチをするのは当たり前です。私も毎日行っています。