宮古島に移住して、自分で畑を耕し、野草を食す日々を送る中で、それまでの食に対するいろいろな疑問が解消されてきています。
横浜で都会の野菜の味に慣れていたころは、 田舎に行っておいしい野菜を食べると、なぜか憤りを感じていました。
そして今、宮古島の強い日差しとミネラル豊富な土壌で育った野菜を口にしたとき、その新鮮さと濃厚な味わいに驚いています。

「野菜はオーガニック(有機栽培)が良い」「朝どれが良い」「品種改良されたものは良くない」など、食に関する疑問は尽きません。
科学的な根拠を求める声も大きいですが、私が宮古島で体験していることは、こうした疑問に対する一つの答えでもあるように感じます。
このブログでは、私が実際に体験していることを通して、食の大切さや、より良い食生活を送るためのヒントを皆さんと共有していきたいと思っています。
1.土から生まれる本当に美味しい野菜とは?
何度も読み返して、ぼろぼろになるまで愛読している本があります。

幼いころから寺で料理を手伝っていた著者が、軽井沢の別荘で一年を過ごします。
庭や畑、近所の山でとれた旬の食材を使って、季節ごとの食事を楽しむ様子が描かれています。
この本との出会いがきっかけで、 私もいつか、自分の手で畑を作り、野草を摘んで食べてみたいと思っていました。
食とは、食べものを口にいれることではありません。
野菜であれば、種をまく、育てる、収穫する、調理する、こんなことも含めて食というのではないでしょうか。

コンビニやスーパーで売っているカット野菜は、洗剤で洗われ、塩素で消毒されています。
いつでもどこでも手軽に食料が手に入る現代社会ですが、どこか不自然さを感じます。
2.野菜の栄養価は減っている?

これは私の畑ですが、レタス、ミニトマト、ゴーヤなどさまざまな野菜が育っています。
雑草の中には、食べられる野草もあります。
肥料も、農薬も、除草剤も一切使わず、水も自然に任せています。
その代わりに、捨てるはずのコーヒー豆のかすや野菜くずを堆肥として畑にすきこみます。
畑にいる生きものが分解し、栄養のある土壌を作り出してくれます。
レタスの苗を育てても、店で買ったレタスとは比べものにならないほど、味が濃厚です。
雑草の中で野菜が育つと、植物同士が栄養を奪い合うことで、より力強い野菜に育つと言われています。
私の畑の野菜も、まさにその通りなのかもしれません。
葉は虫に食われますし、形が不揃いです。
しかしスーパーで売られている「きれいな」野菜をみると、いったいどんな手間や工夫がかけられているのかと、少し怖さを感じます。

虫に食われない「きれいな」野菜を「たくさん」作るためには、化学肥料や品種改良、農薬や除草剤が欠かせないのでしょう。
ときどき農家さんに野菜をいただくのですが、「これは農薬を使ってないよ」といっていただくこともあります。
3.朝どれ野菜が本当に良い野菜?
昔のトマトやきゅうりは、現代のものよりももっと酸味が強かったり、苦味が感じられたりすることが多くありました。
これは、苦みを減らしたり、 皮を薄くしたりする品種改良が進んだ結果と考えられます。
同じ野菜を作り続ける単一栽培は、土壌の栄養バランスを崩してしまう原因となります。
宮古島の農家さんの中には大豆やヒマワリを育てて、収穫することなく輪作を行っている方がいます。
これは、土壌に有機物を戻し、栄養バランスを整える効果があると考えられています。
ここ50年ほどで、一部の野菜の栄養価は3分の1ほどに減少しています。
しかも、倉庫や冷蔵庫などで保存期間が長くなると、野菜自身が呼吸を行い栄養を自己消費するため、もっと栄養価は減ってしまいます。
「朝どれ野菜」が重視されるのはそのためです。
「朝どれ」と言っても収穫から出荷までの時間が長い場合もあります。
野菜を選ぶときには収穫日と出荷日の違いにも気をつけましょう。
ここまでお読みいただいて興味深いと思われたあなたは、「土から生まれる本当に美味しい野菜とは?Vol.2」もお読みいただけるとうれしいです。
野菜を水で育てる水耕栽培や、品種改良のくだもの、宮古島での農薬事情などについて書いています。