スーパーで売られている野菜は、水耕栽培で作られているものも多くみられます。
水耕栽培は、土を使わずに水の中で野菜を育てる方法です。
水耕栽培の野菜って、本当に体に良いのでしょうか?
今回は、水耕栽培の野菜と、自然の野菜の違いについて考えてみたいと思います。

1.なぜ水耕栽培ではいけないの?
自然栽培と水耕栽培では「栄養には差がない」といわれます。
果たして本当でしょうか?
野菜は土の中のミネラルを吸い上げて育ち、タンパクなどの栄養素を作り出します。
水耕栽培とは、土で野菜を育てるのではなく、ビニールハウスや人工照明などで、水に根っこをつけて育つ野菜です。
食べてみれば味の差は歴然です。
私は水耕栽培の野菜を買うことはありません。
野菜には、私たちの体に必要なミネラルやビタミンだけでなく、野菜に含まれるポリフェノールやカテキンなどのフィトケミカルという成分も含まれています。
これは太陽の紫外線や虫食いに対抗するため、野菜が自分で作り出す物質です。
虫もいない電灯の下で育った野菜は、果たしてどうなるのでしょうか。
2.野草の栄養価が高いのは本当でしょうか?
最近では、野菜よりも野草を食べることが多いです。
野草はビタミンやミネラル、ポリフェノールが多くて体に良いともいわれますが、味が濃く、それぞれ味が違っていて本当に美味しいのです。

他にも、たくさんの栄養素を含んでおり、サプリメントでも有名なモリンガ(日本名でワサビの木)もあります。
フィリピンでは栄養価の高い植物とされており、一般的な食材です。
私の住んでいる島にはフィリピンの女性も多く住んでいます。
彼女たちの家にはモリンガがひっそりと植えられています。
私も真似して1本のモリンガを育て、毎日庭で葉を摘んで食べています。

野草は本当に栄養価が高いのかもっと詳しく知りたいのですが、具体的なデータを見つけるのは難しいのです。
宮古島の人も、家の周りに野草があるのに、スーパーで野菜を買います。
野草は野生的で粗末なもの、スーパーの野菜は洗練されたものという感じでしょうか。
何かおかしいと思いませんか?
3.天然のくだものは体に良いといいますが…
宮古島では、シークゥワーサーやパパイヤ、バナナなどのくだものも自生しています。
スーパーで売っているバナナは、私たちが普段食べている品種とは少し違います。
もともとのバナナは種がたくさんあり、とても食べれるものではありません。

店頭に並んでいるバナナは、品種改良により、種がなく糖度が高くなっています。
カロリーも高いので、ダイエット中などは食べ過ぎに気をつけましょう。
「バナナなど、天然のフルーツは体に良いですよね!」というのも、実はそうとも言えないのです。
日本の都会で、品種改良もされていない「本当に自然のままの野菜やくだもの」を探すのは、ほぼ不可能と言えるでしょう。

こんなお話をしていると、「もう食べるものが何もないじゃないですか!」といわれます。
確かにおっしゃる通りです。
食について大事なことは、ベストではなくベターです。
- カット野菜はやめて、自分で野菜を調理する。
- 道の駅や農家さんなどで、直接買うようにする。
- 庭やプランターで、少しの野菜を育ててみる。
ご自身でできる範囲で、始めてみると良いでしょう。
4.野菜やくだものに農薬は使われているのでしょうか?
都会のオーガニックショップで無農薬バナナが販売されていますが、そもそもバナナに農薬は必要ありません。
宮古島の家の庭では、勝手に育っています。
野菜と同じように、「きれいに」「たくさん」作るには、やはり農薬が必要です。
そして、除草剤は土壌で分解されると言われていますが、実際のところはどうなのでしょうか?
2023年に中古車販売のビッグモーター(現WECARS)の不祥事がありました。
ビッグモーターは店が目立つように街路樹を枯らすため、除草剤を使用していました。
警察がその事実を検証するため、街路樹が植わっていた土壌を調べたところ、分解されるはずの除草剤が検出されたというニュースがありました。
これは、除草剤が完全に分解されないことを示す一例と言えるでしょう。
そして宮古島では深刻な問題が起こっています。
宮古島は平たんな島であり、石灰岩が多く水吐けが良いため、川がありません。
島民は地下水を生活用水、農業用水として利用しています。
地下水は、地面の下に巨大なダムを作って貯えられています。
土地の多くはサトウキビなどの畑です。
畑にまかれた農薬や除草剤は地下に浸透し、ダムに溜まります。
その地下水を汲み上げて、農業用水として畑に撒いています。
農薬や除草剤が濃縮されていく過程がわかりますでしょうか。
近年、この地下水の農薬濃度が上昇しているという調査結果も出ています。
私は宮古島地下水研究会の会合で話を聞き、この問題の深刻さを実感しています。
重い話になってしまいました。
現代社会において、品種改良や農薬、消毒や流通の問題をすべてクリアするのは難しいでしょう。
すべての人が畑を持ったり、オーガニック食品ばかりを食べることも難しいかもしれません。
しかし、これらの問題を知った上で、自分たちにできることを考えていくことが大切です。
繰り返しになりますが、食について大事なことは、ベストではなくベターです。
ここまでお読みいただいて、「もっと食について理解を深めたい」と思ったあなたは、食事と栄養のセミナーへご参加いただいてみてはいかがでしょうか。