私はパーソナルトレーナーとして、いろいろなプログラムや器具を自ら体験することをこころがけています。
そうすることで、責任をもってお客様にサービスをご提供をできると確信しているからです。
今回ファスティングを試した理由は2つです。
1つは指導者として自分なりの見解を持つこと、もう1つは効果を自分で人体実験することです。
ファスティングや断食の団体・協会はたくさんありますし、個人で行っている人(とても危険です)も含めると、その数は把握できません。
私が今回試したのは、医師や栄養の専門家がバックアップし、採血までして効果検証も行っているプログラムです。ており、採血までして効果を検証していました。客観的に見て、信頼できるファスティングプログラムだと感じました。
食べないことによる体重の減少や、体調のリセットするよりも、不健康な食事や運動不足を解消することの方が重要です。
食事をしないとタンパク質やビタミン、ミネラルなどの栄養素が不足し、体調不良や病気の原因になります。
したがって、ダイエットや体調改善を目的としたファスティングは推奨しません。
「そもそもファスティングって何?」というあなたは、合わせてお読みいただけると良いでしょう。
1.ファスティングの食事制限とは?
ファスティングには、いろいろな種類があり、短いものだと十数時間、長いものだと1ヶ月近く行います。
食事制限の内容も、体に良くないとされるものをやめる、少量の食事を摂る、水以外は口にしない、特別な食材をとるなど、多岐に渡ります。
ここでは私が試したファスティングの中では「正統派」なプログラムをご紹介します。
コースは3日間(準備食・回復食含め9日間)と5日間(同11日間)の2つでしたが、私はまず3日間を試すことにしました。

3日間ご飯を食べないのは、太って体重が110キロあったとき以来です。
そのときは自己流で失敗し、リバウンドしました。
1-1.ファスティングの準備と効果
ファスティングの開始前に2週間の準備期間があり、とってはいけないものが4つ決まっています。
・アルコール
・カフェイン
・カゼイン(牛乳やチーズ)
・グルテン(小麦粉)

カゼインは牛乳に含まれるタンパク質です。
人の胃腸では分解されにくいとされていて、未消化のまま腸に入ると炎症を起こす可能性があります。
小麦粉に含まれるグルテンも同様に、腸の内壁の細胞がゆるくなり、リーキーガットの原因になるとされています。

リーキーガットとはリーク(漏れる)+ガット(腸)であり、本来血液にはいない腸内細菌や異物が血管に侵入し、炎症やアレルギーを引き起こすことです。
このルールに沿うと、外食やコンビニはもちろん、食べれるものはほとんどありません。
パン、麺類はすべてアウトですし、フライなどのパン粉もアウトです。
結果として、食事は煮る焼くといった和食が多くなります。
私は毎日、コーヒーを3〜4杯、アルコールはビールなどで350ミリリットルを2〜3缶飲んでいました。
カフェインを止めた翌日は頭痛(離脱症状)が起きて、1日中コーヒーを飲みたいという欲求(禁断症状)との戦いでした。
3日目には我慢しきれず、カフェインレスコーヒーを買って飲みました。
正直美味しくはありませんが、飲めないよりはずっと良かったです。
カフェインには利尿作用がありますので、コーヒーを飲まなくなると、トイレに行く回数が減ります。
自分では気付いていませんでしたが、日ごろカフェインの影響を受けていることがわかりました。

ファスティングを体験したことで、現在私はコーヒーは1日2杯までとし、18時以降は飲まないようにしています。
カフェインの効果は最大8時間といわれますので、睡眠障害を起こしている可能性もあります。
どうしてもアルコールが飲みたいときは、ノンアルコールビールを飲んでいました。

カフェインレスコーヒーはコーヒー豆を使っていますので、成分もコーヒーです。
ノンアルコールビールは麦芽やホップを使っていないので、ビールではありません。
人工甘味料にフレーバーを付けているので、栄養としての価値はありません。
飲むのであれば、下のクラウスターラーなどがおすすめです。

そんなこんなで2週間の準備期間を終えて感じたことは以下の通りです。
・目覚めがとても良いです。
→ぐずぐずしないで、すぐ仕事ができます。
・気持ちに抑揚がありません。
→草食動物になったように穏やかな毎日です。
・面白くありません。
→普通の食事ができず、人付き合いがわるくなります。
体重は2週間で80→79.5キロと、500グラム落ちました。
そしてファスティングのための準備食を2日間食べます。
一部の食品に制限がありますが、それほどストレスにはなりません。

ここまで2週間、菓子パン、ラーメン、カレー、パスタなどは食べていませんので、ちょっと食べたくなりました。
探してみるとパスタではないパスタ、カレーではないカレーなどがあるものです。
1-2.ファスティングの内容と効果
いよいよファスティング3日間が始まりました。
過去に3日間絶食(水のみ)をした経験がありましたので、とくに不安はありませんでした。
今回は、まったく食べないわけではないのですが、1日のカロリーは200キロカロリーもないでしょう。

一般に男性で1日1800キロカロリー、女性で1日1600キロカロリーほどでダイエットできます。
1日200キロカロリーという数値が、いかに危険なことかわかります。
このほか酵素ドリンクというものを飲むのですが、ファスティングを怪しいと思っていた最大の理由が、この酵素ドリンクの存在です。
酵素もタンパク質ですので、飲んだ後は栄養の一つとして、分解されて吸収されます。
飲んだ「体外」酵素が、「体内」酵素として働くことはありません。
体調については非常に良いです。目覚めも良く、頭もクリアです。

頭がクリアになるのは、通常のダイエット(減量)中も同じです。
正しいダイエットは2ヶ月〜半年近い期間で、筋トレと食事制限(カロリーコントロール+低糖低脂肪食)で行います。
ファスティング2日目の排尿時、体が※ケトーシスに入ったときの臭いがしましたが、これは低糖質ダイエットでも良くあります。
ケトーシス:体内の糖がなくなり体脂肪を燃やすようになると、ケトン体というもののせいで体臭や尿が臭くなります。これが低糖質ダイエットの狙いでもあります。
私は毎日お通じがありますが、ファスティング中、1日目は排便なし、2日目にいつもの1日分のやや硬い便がでました。
睡眠について、途中で目が覚めることはありません。
夜22時ごろには眠くなってしまい、仕事としては困るのですが、本来これが自然なのかもしれません。
毎日食事にかけている2〜3時間が不要になりますので、仕事が捗ります。
食事というものは「人生の最大の楽しみ」だと実感しました。
2.ファスティングに危険性はありますか?
ファスティング最終日(3日目)に大変なトラブルが起こりました。
1時間ほど筋トレをしてみましたが、やはり力がでません。
瞬発力はあまり変わりませんが、持久力が下がって息が上がってしまいます。
デスクワーク中も、軽い立ち眩みがあるような感じです。
体重を測ってみましたが、79.5→78.2キロと、マイナス1.3キロでした。
体の成分としては、エネルギーであるグリコーゲン(糖分と水)が抜けた感じであり、体脂肪の燃焼についてはわかりません。
通常のダイエットと同じく、味覚、臭覚が鋭敏になります。

出先でいただいたハーブティーの香りと味を強烈に感じました。
ナンプラーの香りがすると思うと、友人がグリーンカレーを食べていました。
空腹はほぼ感じていません。
しかし、食べものを見たり香りがすると、食欲が湧いてきました。
空腹と食欲は別物だということがわかりました。
特に運動しない限り体調に変わりありません、と日記に書いた夜のこと、大変なことが起こりました。
体調が良かったため、今夜は糖分を入れなくても大丈夫だろうと高をくくって寝たところ、朝4時半に凄い寝汗と動悸で目が覚めました

いわゆる夜間低血糖という症状です。
寝ている間に血液中の糖分がなくなり、アドレナリンなどのホルモンを使って、血糖値を上げています。
私は知識があったため「起きるまで3時間どうしようか?」と冷静に考え、大丈夫だろうと判断して再び眠りにつきました。
朝7時、意識はもうろうとし、ひどい胃痛で目を覚まします。
体を起こすのも辛い状態でしたが、何とか回復食を口にしました。
しかし、体調は良くなりません。
「これは血糖値を上げないと本当に危険だ」と、近くにあった甘栗を一つずつ口にして様子をみました。
5個目(糖質にして15g)を食べたところ、血糖値が上がったのでしょう。
頭がはっきりしてきたので、食べるのをやめました。
昼には完全に復活し、筋トレもしたのですが、本当に貴重な体験となりました。
3.ファスティングについての結論
現段階において、ファスティングにはダイエットやオートファジーの効果もあると思われますが、効果検証は十分ではありません。
私が参加したグループでも、参加者の半数以上が、内容についていけない、体調不良などで脱落しました。
安全性が不十分であり、他の方法もあるのであれば、私はお客様にファスティングをお勧めいたしません。
しかしファスティングを通して、アルコールやカフェインの摂取量を減らすことで、体調が良くなることはがわかりました。

ファスティングで体重が落ちた!と公言している人も多いですが、それが体脂肪である保証はありません。
水分かもしれませんし、筋肉が落ちている可能性もあります。
そもそも私たちの体は、安定して食事が摂れることに慣れていません。
野生動物だったころは、数時間や1日食事にありつけないこともあったでしょう。
日ごろ食べすぎたり、暴飲暴食の機会があるときは、1日断食や間欠的断食(1食抜くこと)などは良いのかもしれません。
健康状態が優れず、日ごろの食事も良くないのに「簡単に痩せるかも!」と気軽にファスティングにチャレンジすることだけは、避けてください。
正しい食事内容やダイエット方法を知りたいと思ったときは、お気軽にご相談いただければ幸いです。
