寿命には2つの種類があります。生まれてから亡くなるまでの平均的な年数である平均寿命と、介護の手を借りず自分で生活できる健康寿命です。
生物としてのヒトの寿命はもともと50年程度といわれていますが、人生は100年時代(センテナリアン)ともいわれています。 健康で長生きするためには、何が必要なのでしょうか?
1. 平均寿命と健康寿命の違いはなんですか?
日本人の平均寿命は、男性81.41歳、女性87.45歳です。
同じく健康寿命は、男性72.68歳、女性75.38歳です。
※いずれも厚生労働省2019年データ
平均寿命とは、0才の乳幼児が「この年まで生きるであろう」と予測される年齢であり、健康寿命とは、「日常に支障がなく自分で生活できる期間」のことをいいます。
平均寿命のうち、男性は約9年、女性は約12年も、支援や介護が必要になる期間があります。
加齢に伴って身体機能が低下し、移動や、入浴、寝たきりなど、日常生活を送ることが困難になるためです。
出典:e-ヘルスネット(厚生労働省)平均寿命と健康寿命
健康寿命が短くなれば、あなたご自身も大変な思いや辛い思いをしなければなりませんが、あなたのパートナーやご家族にもいろいろと迷惑をかけることになってしまいます。
人生100年時代、一世紀を生き抜いた長寿者をセンテナリアンといいますが、その長い人生を楽しめるかどうかは、平均寿命と健康寿命の差をいかに短くするかがポイントです。
今のうちにしっかり食事や運動をすることが、骨粗しょう症やサルコペニア(加齢にともなう筋力の低下)を予防し、健康寿命を延ばすことにつながります。
2. 日本人の健康寿命が短くなる原因はなんですか?
日本の死因ランキング上位3つは、以下の通りです。
1.悪性新生物(がん)
2.心疾患(心筋梗塞など)
3.脳血管疾患(脳梗塞など)
いずれの疾患も遺伝的要因(先天的要因)が関係しているといわれますが、その人が病気を発症するかどうかは、日ごろの食事や運動、ストレスなどの生活習慣(後天的要因)によるところが大きいともいわれます。
不摂生な生活をするほど、平均寿命も健康寿命も短くなるのは間違いありません。
寝たきりになってしまう原因としては、認知症や、脳卒中などの脳血管障害が多いのですが、実は1/4が転倒による骨折や、膝や股関節の関節疾患です。(下記グラフの黄緑+緑)
そもそも寝たきりという学術用語はなく、厚生労働省では「おおむね6ヶ月以上を病床で過ごす者」と定義しています。
グラフ中にある廃用症候群とは、体を動かさないことによって、さらに機能が低下して動けなくなることをいいます。
高齢者が怪我や病気をすると、そのまま体が弱って寝たきりになってしまうことは、良く知られています。
どの年代であっても、運動しなくなる→体がおとろえる→ますます運動しなくなる→ますます体がおとろえる、というマイナスのスパイラルに入ってしまうと、抜け出すのが難しくなってきてしまいます。
3. 健康で長生きするためにはどうすればいいですか?
WHO(世界保健機構)では、健康(ヘルス)の定義を次のように決めています。
「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。」
日本語の健康という言葉も、そもそもは健体康心(けんたいこうしん)であり、健(すこ)やかなからだと、康(やす)らかなこころとされています。
体ばかりに気をつけるのではなく、フィジカル(からだ)、メンタル(こころ)、ソーシャル(社会)の3つを満たすことが大事であることも忘れないでください。
健康な人生を送るために、以下のことに気を付けましょう。
・外食やファーストフードではなく、ご飯やうどんなどの主食、肉や魚などの主菜、野菜や味噌汁などの副菜を、バランスよく食べること。
・毎日のウォーキングや、ストレッチで柔軟性を、有酸素運動で心肺機能を、週2回程度の筋トレで筋力をそれぞれ高めること。
これらのことを実践することで、がんや循環器疾患などの病気を予防し、健康な体を作ることができます。
また寝たきりの原因となる転倒や関節疾患は、筋骨格系といわれる骨や筋肉をしっかり鍛えておくことで、予防することができます。
私たちの体重は成人で50~65キロほどありますが、骨だけでは10キロ程度しか支えることができません。大事なのは、骨を支える筋肉を鍛えることです。
厚生労働省では、以下のような運動を推奨しています。
例)高齢者に対する個人目標
○年齢や能力に応じて以下の社会参加活動のうち一つ以上を行なう。
・能力や体力に応じた仕事(フルタイム、パートタイム)
・知識や経験を生かした地域活動やボランティア活動
・知的文化的学習活動、興味や関心を生かした趣味や稽古ごと
○年齢や能力に応じて以下の運動のうち一つ以上を行なう。
・ストレッチングや体操を1日10分程度行う
・散歩やウォーキングを1日20分程度行う
・下肢および体幹部の筋力トレーニングを1週間に2回程度行なう
・レクリエーション活動や軽スポーツを1週間に3回程度行う
また具体的なエクササイズとしては、以下のようなものが推奨されています。
あまり運動をしたことがない場合は、ウォーキングと合わせて、こういったストレッチや体操から始めてみるとよいでしょう。
平均寿命と健康寿命の違いを知り、健康寿命を保つことで、人生をより豊かに楽しむことができます。急性の怪我や病気では薬や病院も大事ですが、やはり健康の基本は日ごろの食事や運動、そして睡眠です。
デスクワークが多くなり生活も便利になることで、ますます運動量は減り、食事はファストフードばかりです。
我々の体(内臓も)は数百万年前とあまり変わっていません。
本来ヒトの寿命は、子育てを含めても50歳程度といわれています。残された50年も健康でいるためには、早いうちに準備をすることが大事なんですね。
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