コンビニで気軽に買えるプロテイン。たんぱく質の量も多くなっています。
飲めばやせる、筋肉がつくと思われていますが、それは本当でしょうか?
美容や健康に良いとして、高価なアミノ酸も販売されています。はたしてプロテインとアミノ酸では、どれほどの違いがあるのでしょうか?
1.プロテインは体に良い?どんな効果があるの?
プロテインはたんぱく質のことです。
語源はギリシャ語の「プロティオス」で、最も重要という意味です。
サプリメントとして使われるプロテインとは、プロテインパウダーやドリンクのことで、単なるたんぱく質だけでなく、ビタミンやミネラルなどの栄養素が含まれていることもあります。
サプリメントは、食べ物ではなく栄養補助食品とに分類されます。
原材料は、
- ソイ(大豆)
- エッグ(卵)
- カゼイン(牛乳)
- ウェイ(乳清)
などがあります。現在は吸収率の高いウェイが主流です。
ソイプロテインは植物性たんぱく質で健康的と思われがちですが、成分が調整されているので、動物性たんぱく質と違いはありません。
プロテインを飲めばやせる、筋肉がつく、と思われていることもありますが、それはちょっと違います。
体に良いかどうか、どんな効果があるのか、と聞かれると、基本的には肉や魚などのたんぱく質と同じ働きです。
肉や魚などと比べて脂質が少ないので、代わりにとればやせやすいかもしれません。また、たんぱく質が不足していると筋肉がつきにくいため、手軽に補うことで筋肉がつきやすいことはあるでしょう。
きちんと3食食べていて、肉・魚・豆・乳製品をバランスよく摂取している人であれば、プロテインは必要はありません。
プロテインをとったほうが良いのは、次の場合などです。
- 肉、魚、豆、乳製品が苦手な人
- 外食が多く、ご飯やパンなど糖質が食事をしている人
- ダイエットでカロリーコントロールしている人
プロテインも、1gあたり4kcalなので、必要以上にとれば太る原因になります。
ダイエットに利用する場合、肉や魚と置き換えることがポイントです。
2.プロテインとアミノ酸はどっちが良いの?スコア100って何?
プロテインは体内で消化したり、人工分解するとアミノ酸になります。
「どちらが良いですか?」と聞かれても、あなたの状況によりますので、簡単におすすめはできません。
そもそも、栄養として、プロテインやアミノ酸をとることはベストではありません。
体内でたんぱく質を利用するためには、同時にビタミンやミネラルなどの栄養素も必要になるのですが、それはプロテインに含まれていません。
そのため体に良いかどうか?ということでは、肉や魚などの食べものが優先になります。
いつもお菓子などを食べている人がプロテインを飲んでも、価値は低いです。
きちんとご飯を食べている人で、かつ運動量が多い人がプロテインをとるのは良いでしょう。
プロテインは、体内で分解されてアミノ酸として吸収され、体の部位に合ったたんぱく質に再合成されます。
アミノ酸にはたくさんの種類がありますが、体内で合成できないアミノ酸が9種類あります。
これはEAA(必須アミノ酸)と言われ、食事でとらないと不足してしまうため、特に重要です。
EAAのバランスの良さをアミノ酸スコアと言い、最も良いのが100点です。
食べもので言うと、肉や魚はだいたい100ですが、豆類などになると点数が低いです。
しかし、プロテインとして売っているものは、成分調整されていますので、原料が大豆であるソイプロテインも100に調整されています。
EAAをとると良いのは、以下2つのときです。
1つは、内臓の消化機能が弱くて、肉や魚が食べられないときです。
そんなときはEAAも良いですが、一度にたくさんとるのではなく数回に分けてとるのがポイントです。
もう一つは、体内のアミノ酸が減ってしまうとき、つまり筋トレやスポーツで筋肉が分解されるときにとると良いでしょう。
ダイエットであれば、EAAだけを摂取しても構いません。
しかし、ボディメイクであればエネルギーとなる糖質を摂取するとより、効果的です。
プロテインを飲むとお腹がゆるくなるという人がいます。
肉や魚、プロテインを消化するのはたんぱく質分解酵素ですが、この酵素もたんぱく質でできています。
栄養不足になると酵素が作れず、「体にたんぱく質が必要でも、その消化ができない」というマイナスのスパイラルに入ってしまいます。
EAAばかりとっていると、それ以外のアミノ酸が不足してきます。
そうなるとEAAを分解して別のアミノ酸を作ることになり、結局EAAが足りなくなるという本末転倒な状況になってしまいます(泣)
3.EAAではなく、BCAAもあるの?その効果の違いは?
BCAAはEAAに含まれる3つのアミノ酸のことです。
お腹が減ったり、持久力系の運動をしたときにエネルギーとして使われます。
脳や体の疲れを軽くし、集中力を高める効果もあります。
しかし、BCAAを摂取する必要はありません。
空腹状態で運動をすると、筋肉が分解されてBCAAが取り出され、せっかく運動をしているのに筋肉が落ちてしまうことになります。
そのためBCAAもとったほうが良いと思われがちですが、それであればBCAAをすべて含むEAAを摂る方が効率がよいでしょう。
BCAAで有名なのは大塚製薬さんのアミノバリューですが、栄養表示は以下のようになっています。
果糖、砂糖、食塩/酸味料、BCAA、アルギニン、塩化K、乳酸Ca、香料、甘味料(スクラロース)、炭酸Mg
ダイエットであれば果糖や砂糖などの糖質はとりたくありませんが、角砂糖5個分の糖質が含まれています。そのため、ダイエットのために、アミノバリューを飲んでいると、逆効果になる可能性があります。
4.結局何をとればいいの?運動後のプロテインは重要ですか?
結論、きちんと食事をとっているのであれば、プロテインもアミノ酸も不要です。
ただし、以下の3つのケースなどでは、とっても良いと思います。
1.食事が不規則だったり、肉や魚が苦手な人
食事が3~4時間以上空くと、血中アミノ酸が減ってきます。肉や魚が苦手な人もたんぱく質を充分に摂取することが難しい場合があります。
そんなときは、うまくプロテインやEAAを利用することでたんぱく質不足を解消することができます。
プロテインとEAAの違いは、消化酵素を使うかどうかと、吸収スピードです。
消化能力が弱くてプロテインも消化できないときは、EAAをこまめにとるのも良いでしょう。
プロテインは血中に入るまでに90分ほどかかりますが、EAAは15分ほどです。
EAAは速やかに吸収されますが、血中のアミノ酸濃度を長く保つのには向いていません。
2.ダイエット中で、なるべく脂肪を減らしたい。
体にとって肉や魚のたんぱく質は重要ですが、同時に脂質も含んでいます。
ダイエット中は脂質を控えた食事を心がけることが大切です。
脂質の少ない肉や魚を選んだり、調理をしたりする必要があります。
料理が苦手な人や外食が多い人は、代わりにプロテインをとることもおすすめです。
3.ボディメイク中で筋肉をつけたい。
筋トレをしっかり週3回以上行うようになると、体重あたり2g近くのたんぱく質が必要になるときもあります。
これは体重60㎏であれば、たんぱく質120g、肉や魚にして600gにもなり、食事でまかなうのは大変です。
こんなとき、プロテインは重宝します。20gのプロテインを飲めば、16~18gはたんぱく質がとれることになります。
筋トレが終わった後で、プロテインを飲む人も多いです。
しかし1時間以内に食事を食べられるのであれば、プロテインは要りません。
筋肉が壊されるときに血中アミノ酸濃度が高いことは、すばやく筋肉を修復できるので重要です。
しかし運動後にプロテインを飲んでも、血中に入るのは90分後になります。
筋トレの90分前にプロテインを飲んで、血中アミノ酸濃度を高めるほうが正しい選択でしょう。
5.おすすめのプロテインやアミノ酸はありますか?
あなたがジャンクフードを食べているのか?オーガニック食材を食べているのか?など、生活のご状況によっておすすめは変わります。
売っているプロテインのサイズは250g~10㎏と幅があり、いきなりキロ単位でプロテインを買ってしまって飲みきれないのは、プロテインあるあるです。
ビーレジェンドは人工甘味料を使用していますが、小袋のお試しセットなどもあり、いろいろな味を手軽に試すにはよいでしょう。
食材や人工甘味料などにこだわりがある人は、自然な甘みで、グラスフェッドビーフ※の牛乳を原材料にしているチョイスなどもあります。
※グラスフェッドビーフ
本来、牛は草を食べて育ちますが、早く育てるために牛舎で雑穀で育てている場合がほとんどです。牧場に放牧して青草や干し草のみで飼育した牛を、グラスフェッドビーフといいます。
プロテインを飲むとお腹がゆるくなるのは消化酵素が弱いことが原因の一つです。
人工甘味料が体質に合わないこともあります。そのような場合でも、試してみる価値はあるでしょう。
EAAやBCAAは、原材料がオーガニックでもアミノ酸の成分は同じです。そのため大手製品であれば、原材料による違いはほとんどありません。
プロテイン1グラムあたりの金額でコスパを判断する人もいますが、原材料や製法までしっかり見ないと、判断はできません。
- ベースは牛乳なのか豆乳なのか?
- カゼインなのか?ウェイなのか?→どちらも牛乳ですが、ウェイのほうがEAAが多く吸収が早い。
- WPCなのかWPIなのか?→プロテインの抽出方法で、WPIのほうが精度が高い。
含まれるビタミンやミネラルなどの栄養素によってもコストは変わります。
実際にある3社を比べると、
- A社 3.88円
- B社 4.98円
- C社 6.01円
となり、グラムあたり単価でいうとA>B>Cの順で、コスパが良いということになります。
しかし成分を比べてみると、
A社:
乳清たんぱく(アメリカ製造)、粉末油脂、ぶどう果汁パウダー、香料、クエン酸、クエン酸ナトリウム、甘味料(スクラロース、アセスルファムK、ステビア)、乳化剤、ビタミンC、ビタミンB6
B社:
乳清たんぱく(ニュージーランド製造)、有機ココアパウダー、米麹末(米、麹菌)、乳酸菌末/甘味料(ステビア)
補足すると、人工甘味料をつかっていない、オーガニックを重視してる、などがわかります。
C社:
ホエイプロテインコンセントレート、プロテインコンセントレート、ミルクプロテインコンセントレート、低脂肪無脂肪ミルク、マルトデキストリン、ひまわり油、果糖、セルロース、キサンタンガム、チアシード、中鎖脂肪酸(MCT)、アルファルファ、酸化マグネシウム、ビート、リン酸三カルシウム、クエン酸カリウム、消化酵素(ラクターゼ、リパーゼ、セルロース、インベルターゼ、プロテアーゼ、アミラーゼ、ブロメリン、パパイン)、海塩、ステビア、ビタミンC(アスコルビン酸)、ステアリン酸マグネシウム、二酸化ケイ素、モリブデン含有酵素、グルコン酸マンガン、ビタミンEコハク酸、ヨウ化カリウム、ナイアシンアミド、酸化亜鉛、ビタミンA(βカロテン)、ビタミンD3(コレカシフェロール)、グルコン酸銅、塩化クロム、亜セレン酸ナトリウム、ビタミンB5(d-パントテン酸カルシウム)、ビオチン、ビタミンB7(ピリドキシンHCL)、アシドフィルス乳酸菌、ビタミンB2、ビタミンB1、ビタミンB12(シアノコバラミン)、葉酸、メチルフォレート(L-5-メチルフォレートカルシウム)
補足すると、天然素材を多く使い、すべての栄養素だけでなく、消化酵素や腸内細菌まで含まれています。
とても比べられるものではないことがわかるでしょう。
C社は私がずっと愛用していたもので、実際にはプロテインではなくMRP:ミール・リプレイスメントといって、食事の代わりにとるものです。
たんぱく質などの栄養素は、単体では働くことができません。
ビタミンやミネラルがあってこそ、体内で活用されるのです。
※C社はアメリカのメーカーでしたが、2023年に日本市場を撤退しました。
せっかくここまでお読みいただいたのですが、プロテインやアミノ酸をとったほうが良いケースは少ないことがお分かりいただけたでしょうか?
栄養の基本はプロテインなどのサプリメントではなく、三食の食事です。
厚生労働省も「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを」としています。
今現在プロテインをとっている、私はとったほうが良いかもしれないと思ったときは、一度食事&栄養アドバイスを受けてみませんか?